ヨーキー椛(もみじ)、ドッグダンスするよ!

顔も体も態度もでかいヨーキーの女の子、椛(もみじ)のドッグダンスやお出かけ、さりげない日常の出来事などの記録です。

椛とドッグダンス~ドッグダンスの功罪・その3、肝気の不安定とは?~

近所の犬友さんたちと妻との会話です。
「椛ちゃん、先週末いなかったみたいだけど、どうしたんですか?」
「椛は、発表会があって山中湖まで行ってたのよ。だから留守だったの。」
「発表会って、椛ちゃん何かしているの?」
「ドッグダンス、ママと椛で曲に合わせてダンスをするのよ。」
「へー、ドッグダンス。すごいね。でも、それって大丈夫?」
「?? 大丈夫って何が?」
「ドッグダンスなんて、ストレスがかかったりして大変じゃない?」
こんな感じの会話がありました。


一般の人から見ても、ドッグダンスなどの競技を犬が行っているというと、犬にストレスがかかって大変だとかネガティブなイメージを持つ人も多く、場合によっては動物虐待的な感覚で捉える方もいる様です。


私も、はたしてドッグダンスを行うという事は、犬にとってはどうなのだろうかと考える事があります。
そこで、ドッグダンスのプラスの面とマイナスの面を、”ドッグダンスの功罪”として綴っていきたいと思います。


犬の躾は、”魂(こん)=理性的で崇高な感情を司る精神の部分”の獲得という要素と捉える事が出来るという事を今までお話しました。
生まれたての子供は”魄(はく)=本能的即物的欲望”のみから精神が構成されているため、自制が効かず欲望のままに行動します。
これは人間も犬も同様です。
それが成長とともに魂(こん)が発達して、魄(はく)をコントロールする様になり、精神的に安定していくという事になります。


成長しても、落ち着きのない、躾けても上手くいかない犬は、東洋医学的に見ると魂(こん)の発達不足のケースもありますが、魂(こん)の発達不足からくる二次的な”肝気(かんき)”の不安定による要素が強く出ているケースもあります。


肝気(かんき)とは、自律神経や精神状態を司る肝(かん)の働きを表わします。
東洋医学で言う肝(かん)というのは、解毒や糖の貯蔵などを行う肝臓という臓器だけではなく、自律神経、ホルモン系の調整機能、血の貯蔵、精神機能などを幅広く司る臓器系とされています。
※肝(かん)という概念は西洋医学だと単なる肝臓のみですが、東洋医学の肝(かん)は、肝臓という会社と、自律神経・精神機能会社との合弁企業に例える事が出来ます。


犬をしっかりと躾けるためには、自然発生的に生まれてくる魂(こん)に加えて、躾ないし訓練で後天的に獲得する魂(こん)を増やすことが必須になります。
その際に気を付ける必要があるのが、肝気(かんき)の不安定≒ストレス過多の状態です。


肝気(かんき)が不安定である時の症状は、人間の子供だとある程度判りやすい部分があります。不平やイライラ、いきなりのやる気の喪失、それらについて言葉による訴えがあるからです。
しかし、犬の場合は言葉がしゃべれません。
そのため、飼い主が察する必要があるのですが、これがまた難しいのです。


犬が、言われたことが判らなくて困惑して吠えているのか、ストレスを感じて吠えているのか、はたまたお腹が空いているのか・・・それすらも判別が難しいのです。


犬の躾ないし訓練に於いては、ストレスコントロール=肝気(かんき)の安定が重要ですが、この観点から言うと、ドッグダンスの練習は独特のストレスを生みます。


警察犬、介護犬、盲導犬などの訓練は、高い正確性が要求されますが、目標が明確化されています。
その目標は、飼い主などの人間の安全と快適性ないし有効性が最優先という目標。判りやすい目標です。


それに対して、ドッグダンスについては、競技に於けるルールを守り、正確な演技をするという事にプライオリティがあります。
その目標は、犬にとっては比較的理解しにくい目標と思います。


では、何のために犬がドッグダンスの練習を頑張るかというと、それは飼い主との絆です。
飼い主との絆を深め、信頼に応えたいという想いが、つらく厳しい練習を乗り越えるモチベーションなのです。
この部分がしっかりとしていれば、犬は喜んでドッグダンスの練習をします。


ここまでは良いのです。
しかし、ドッグダンスは競技です。
競技である以上、大会があり、そこでは他者との比較があります。
これが犬にとっては、大きなストレスとなります。


一般的に言うと、犬は順位をつけたがる動物だと言われています。
これは、犬が群れとして生きていくための必要性からくるもので、本能的なものです。
自然に順位を意識して生活をしています。


しかし、その順位と、ドッグダンスの競技会での順位は全く異なる物です。
犬にとっては、状況によっては、全くもって理解しがたい理由で順位が決められるのです。
我々人間社会に於いても、全くもって判らない基準で仕事の評価が決められたりするとストレスになるのと同じです。


そして、犬にとって全く理解不能な要素の大きな競技会の順位というもので、飼い主は一喜一憂します。
その飼い主の精神状態は、犬に伝わります。
人間の子供に伝わるよりも、数倍、犬には伝わります。
その理由が理不尽であると感じると、ストレスは肝気(かんき)の不安定を生み、蓄積していきます。


肝気(かんき)の不安定の蓄積は、静かに進行し、限界にまで達すると一気に爆発します。
人間で言うと、長年の不満が鬱積し、ある日、一気にキレるというパターンです。
犬の場合では、いきなりパタッとドッグダンスの練習をしなくなってしまったり、練習はしても競技会の場で吠えたり逃げたりするようになったり、最悪の場合は攻撃的になってしまう場合も有ります。
こうなると、なかなか回復するのは難しくなってしまいます。


だから、ドッグダンスの大会など発表の場に於いて重要なのは、競技中以上に競技終了後であると聞きました。
競技終了後に、いかに犬を褒めて、モチベーションを高めるかが大切といわれています。
この行為が、肝気(かんき)の安定化につながり、ストレスを軽減させ、次の大会へつながる状況をつくるのに役立ちます。


ドッグダンスを行って気づいたことは、犬のトレーニングというものが、実に繊細で難しいという事です。
犬は人間の子供に比べても、実にデリケートな匙加減が要求される事を思い知らされています。
椛のトレーニングを通じて、ふと、これを経験した今なら、息子たちをもう少しきちっと育てられたんじゃあないだろうか、など妻と冗談で言っています。



次回は、肝気(かんき)の安定についてお話をします。



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