ヨーキー椛(もみじ)の物語~29.医療の世界で活躍する犬たち~
アニマルセラピーという世界が存在する事が判ったのですが、まだまだ判らないことだらけです。
そこでまず手始めとして、医療現場で活躍するワンちゃんについて調べてみました。
医療現場で活躍する犬として真っ先に思い浮かぶのが盲導犬です。
目の不自由な方に寄り添う献身的な犬の姿はけなげで感動的なものがあります。
盲導犬程有名ではないものの、耳の不自由な方を助ける聴導犬というものもあります。家の中で玄関ベルやヤカンの沸騰音、電話やファックスの着信音、外での自動車の音による危険の接近を教えたりする重要な役割です。
その他の介助を受け持つ介助犬というものもあります。
この3つを三大補助犬と言うそうです。
その他にも、ニッチな補助を行うワンちゃんがいます。
糖尿病アラート犬。インスリン注射を行っている人が、低血糖を起こした時に知らせてくれる役割の犬。
低血糖時の体調の変化や、その際に発生するケトン体の微弱な臭いを嗅ぎ取って本人に警告したり、意識低下があった場合は引っ張ったり吠えたりして危機を回避するとの事です。
てんかんアラート犬。てんかん発作を持っている人の変化を早期に発見し、危機を回避する犬。けいれんを伴わないてんかんについても、患者の表情の変化などを読み取って的確に判断する事が出来ると言われています。
PTSDアラート犬。精神的トラウマ=PTSDを抱えた人に寄り添う犬。夜間のフラッシュバックやパニックを素早く察知し、危険な行動を阻止するだけでなく、犬自らが癒しの作用も持っている。
いろいろな活躍の場があるものです。
しかし、各種補助犬にしてもアラート犬にしても、個人の専属犬となります。
何も椛を立派な補助犬に育成する必要はないですし、里に出すわけでもありません。
なにか、全般的に人の役に立てるものは無いのかと思ったら、ファシリティドッグというものがあるという事を知りました。
ファシリティドッグ( facility dogs)とは、セラピードッグの上位資格といった感で、アニマルセラピーの高度に専門的なトレーニングを受けたアニマルコンパニオンとして、それを必要とする医療機関や介護施設に常駐するタイプの犬の事だそうです。
セラピードッグに比してファシリティドッグは、より高度な能力と厳格な資格を要し、「治療計画への介入」を行う上での重要な役割を果たします。
麻酔が効くまで付き添うことで麻酔薬の使用量を減らすことや、注射や点滴を嫌がる子供が受け入れるようになる、心療内科の患者の通院意欲の向上などに役立つそうです。
しかし、ファシリティドッグは、犬自身の厳しい訓練と資格の取得が必要なばかりか、指導役であるハンドラーも、臨床経験5年以上の看護師や臨床心理士などの有資格者であることが条件となっており、一般のハンドラーには無い専門的能力と資格を持っています。
それに加えて、勤務地の近くにファシリティドッグと共に居住する必要もあります。
ファシリティドッグ、とても魅力的で可能性のある職種のワンちゃんです。
もっとも、椛の場合は犬種的なものもあり、ファシリティドッグを目指すのは困難です。
それに加えて、ママがこれから看護師や心理士になる事も非現実的です。
そこで、椛が簡易的にファシリティドッグの様な活躍が出来る道はないものかと考えました。
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