ヨーキー椛(もみじ)、ドッグダンスするよ!

顔も体も態度もでかいヨーキーの女の子、椛(もみじ)のドッグダンスやお出かけ、さりげない日常の出来事などの記録です。

ヨーキー椛(もみじ)の物語~49.オスワリ出来ない椛と”サムライの人”~

I先生にドッグダンスを教えて頂くようになり、椛さんは大きく変わりました。
まだまだ、エネルギッシュで自由奔放な性格で、人の言うことをどこ吹く風で流す椛さんです。
しかし、徐々にドッグダンスの練習に興味が湧いてきて、いろいろな事を積極的にやろうとしています。
月に1‐2回のレッスンが楽しみな様子が、ふだんの椛さんの行動からも伝わってきます。
嬉しい変化です。


ドッグダンスのレッスンを行っているうちに、現在の椛さんの状況、長所と短所が良く判ってきました。
長所は、いろいろなトリックが出来る事。
そして、新しいトリックを習うのが好きな事。
習った事の呑み込みが早い事です。


半面、欠点もあります。
というか欠点だらけでした。
先ず、興奮しやすい、興奮すると手が付けられない。
マテが出来ない。それもビックリするほど出来ない。
ドッグダンスをやっているワンちゃんと比べてはもちろん、一般のワンちゃんの中に入れてもそうとう出来ない部類。


そして、衝撃的な事実も判りました。
”実は、オスワリも出来なかった”、というものです。
ドッグダンスをする上に於いて、オスワリはとても重要なコマンドです。
というか、日常に於いても、犬にオスワリをさせる事は、躾上も基本中の基本です。
だから、椛さんも当然出来ていると思っていました。
ところが、出来ない。
正確に言うと、”オスワリ”というコマンドでお座りをすることが全く出来なかったのです。


ダンスの練習の場になって、”オスワリ”と言っても、全くお座りをしてくれません。
当然、”立て”や”伏せ”も出来ません。
これでは、ダンスを構成するトリックを始める事も出来ない状態です。
つまり、レースのスタートラインにすら立てない事を意味します。
これは深刻でした。
(というか、これ、ダンス以前に躾の時点でアウトな事項です。)


何故”オスワリ”が出来ないのだろう?
そう考えると、今までのパパとママの椛さんに対する認識と態度の問題がありました。
今まで、椛さんがオスワリをする時は、基本、ご飯の時など、オスワリが予想される時が基本です。当然、椛さんもそれを予想している時に、『オスワリ』と声がかかります。
パパの場合は、さらに右手の人差し指を立てて、『オスワリ』と言います。そうすると、椛さんはお座りします。
横断歩道や踏切の電車通過待ちの時、『オスワリ』と言っても座らない事がしばしばありましたが、この時は、お尻を上からチョンと指で触って座らせていました。
何となくお座りは出来ていた様に見えましたが、厳密に言えば、”オスワリ”というコマンドを実行させていた訳ではなかったのです。


ドッグダンスの練習を始めるのにあたって、トリックの精度とか、ダンスの構成など、発展的で華やかな部分を想像していたのですが、それどころではない事態であることに気付かされました。
現在の最大の課題は、”オスワリ”が出来る様になる事。
少々情けなくなりましたが、基本中の基本から、本当に地道なトレーニング。
一からやり直すような、根気のいる作業です。


『オスワリも出来ないし。こんな事で、椛はドッグダンスなんて出来るんですか?』とレッスン時にI先生に、多少の弱音を含みつつ質問しました。
『大丈夫ですよ、皆さん、そういったところから頑張っています。』
と励ましてくれます。
『先生もドッグダンスされてるんですよね。先生もそんな悩みありますか?』
『もちろん、悩みだらけですよ。』
『本当ですか?それで、何の犬種を飼われてるんですか?』
『うちはボーダーコリーです。』
『やっぱり。上級者はボーダーコリーって人多いですね。』
『そうですね。』
レッスン終わりに、そんな感じで話をしました。


その夜、何か参考になるかと思い、再度ドッグダンスの世界大会の映像を見ていました。
オスワリや伏せなどの何気ない動作ひとつとってもキレとスピード感があり、絵になるワンちゃんばかりです。
凄いな、と思ってボーっと見ていると、ユーチューブの履歴からお勧めが自動再生されます。
ふたたび日本代表のサムライの人が登場。
前回見たのとは違う国際大会の映像でした。
他の国際大会に出場って、本当にすごいなと思っていると、選手紹介のテロップの名前に・・・。
あっ、このサムライの人、I先生だ!
コスチュームとメイクで今まで気が付きませんでした。

調布のバレエ教室のT先生に”近くの先生を紹介しておきます”と言われただけで、何の予備知識もなくお会いしたI先生。
教えるのが上手く、経験豊富な先生だなとは思っていたのですが、まさか、こんなすごい先生だったなんて!


『椛、たいへんだ!先生、日本代表だった。』
興奮して、傍らの椛さんに声をかけるパパ。
椛さんはというと、ちょっと驚いたようにパパを見て、やがて興味なさそうに自分のベッドで丸くなりました。



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